ターミナルエミュレータの使い方

ターミナルエミュレータとは

画面にテキストコマンドを打ち込んで処理を行うために使用するものです。

Windowsその他のOSではプログラムのアイコンをダブルクリックして起動するのが一般的です。Linuxでもそのような起動方法ができますが、ターミナルエミュレータからコマンドを打ち込んで起動することも多いのです。ターミナルエミュレータの使い方を知っていないとLinuxが使えないというわけではありませんが、知っておいた方が何かと便利です。

ターミナルエミュレータの起動

使い方

起動すると、ユーザ名のようなもの(↓参照)が表示され、入力待ち状態になります。

[user@localhost ~]$ 

(表示はターミナルの設定によって変わります)

入力を促されているので、何か入力しましょう。まず、現在のディレクトリにあるファイル・フォルダ名を表示しましょう。「ls」と打ち込みます。

[user@localhost ~]$ ls
Alt                          apps
Cat                          get_memo.xcf
Chipmunk                     get_memo2.xcf
SDL-1.2.13-1.x86_64.rpm      get_memo_2_m.xcf
SDL-devel-1.2.13-1.i386.rpm  zzz.pdf

(これは作者の環境(一部改変)なので、表示される内容は人それぞれ異なります。)

Alt〜zzz.pdfは現在のディレクトリにあるディレクトリ・ファイル名です。ターミナルエミュレータを立ち上げた直後は自分のホームディレクトリが現在ディレクトリになりますので、ホームディレクトリにこれだけのファイルがあることになります。

ls [ディレクトリ]
ディレクトリにあるディレクトリ・ファイルを表示する。引数のディレクトリを省略すると、現在ディレクトリのディレクトリ・ファイル名を表示する。

現在のディレクトリから移動するには「cd」コマンドを使います。使い方は、「cd [移動したいディレクトリ]」です。

[user@localhost ~]$ cd Alt
[user@localhost Alt]$

「~」が「Alt」に変わりました。これは今Altディレクトリにいることを意味します。ここで「ls」コマンドを使えばAltディレクトリの中身が見られます。

cd [ディレクトリ]
指定したディレクトリに移動する。引数のディレクトリを省略すると、ホームディレクトリに移動する。

Linuxのディレクトリ構成について : Linuxは、ルートディレクトリ「/」をもととして様々なディレクトリが枝わかれ構造を構成しています。例えば、ユーザのホームディレクトリは「/home」以下にあり、「/home/user」がホームディレクトリになっています。また、webブラウザfirefoxは「/usr/bin/firefox」です。(環境によります)

usbメモリなどのメディアも全てルートディレクトリの下にマウントすることによって使用します。(最近のLinuxは自動でマウントしてくれます)

ターミナルエミュレータを使うとき、ディレクトリやファイルのパスを指定する機会が多くあります。このとき、ディレクトリやファイルパス指定方法には大きく2つの方法があります。

ひとつはルートディレクトリから全てのパスを記述する方法です。絶対パス表記といいます。「cd /home/user/Alt」というように使用します。全部のパスを記述しなければならないので、面倒なように思えますが、これはルートディレクトリに近い場所に移動するときなどに便利です。

もうひとつは現在のディレクトリから全てのパスを記述する方法です。相対パス表記と言います。「/home/user」から「/home/user/Alt」に移動したい場合、「cd Alt」と記述できます。現在のディレクトリに近い場所に移動するのに便利です。また、現在のディレクトリよりひとつ上のディレクトリにいきたい場合(例えば/home/userから/homeへ)、「..」を使用します。

[user@localhost ~]$ cd ..
[user@localhost home]$

絶対パスと相対パスの違いは、先頭にルートディレクトリの記号があるかないかで区別できます。

ディレクトリ表記に関する記号を以下にまとめます。

記号意味
/ルートディレクトリ or ディレクトリの区切り
~ホームディレクトリ
.現在のディレクトリ
..ひとつ上のディレクトリ

現在のディレクトリが分からなくなったときは「pwd」コマンドで調べられます。

[user@localhost ~]$ pwd
/home/user
pwd
現在のディレクトリを絶対パスで表示する。

ターミナルエミュレータ上でテキストファイルを表示することができます。編集するにはテキストエディタを使用しなければいけませんが、中身の確認をしたい時には簡単で便利です。テキストをターミナルの画面上に表示したい場合はcatを使用します。下の例ではtest.txtの中身が一気に表示されます。

[user@localhost ~]$ cat test.txt

長いテキストだとこの方法では読めません。テキストを一画面ごとに止めて表示したい場合はmoreを使用します。エンターキーやスペースキーを押すと進んでいきます。

[user@localhost ~]$ more test.txt

前の文に戻って読み返したりしたい場合はlessを使用します。上下キーやj、kキーで上下します。終了する場合はqキーを押します。

[user@localhost ~]$ less test.txt
cat テキストファイル名
テキストファイル名を一気にノンストップで表示する。
more テキストファイル名
テキストファイル名を一画面ずつ表示する。キー操作で文を読み進める。
less テキストファイル名
テキストファイル名を一画面ずつ表示する。キー操作で文を読み進める。文章を遡ることも可能。

アプリケーションを起動したい場合はアプリケーション名をタイプします。例えばemacsを起動したい場合は

[user@localhost ~]$ emacs

とします。emaceが終了するまで、ターミナルエミュレータに処理は戻ってきません。

ちょっと高度な使い方

コマンドをバックグラウンドで起動させる場合はコマンドの後ろに「&」を書きます。こうすれば、emaceを起動中もターミナルエミュレータが使用できます。

[user@localhost ~]$ emace &
[1] 5236

表示された数字はプロセスID(起動しているプログラムを識別する番号)です。「ps」コマンドで確認できます。

[user@localhost ~]$ ps
  PID TTY          TIME CMD
 5068 pts/2    00:00:00 bash
 5236 pts/2    00:00:01 emacs-x
 5309 pts/2    00:00:00 ps

フォアグラウンドで実行しているプログラムをバックグラウンド実行に切り替えたい場合は、ターミナルエミュレータ上で「Ctrl + z」キーを押し、プログラムを停止(終了ではない)させ、bgコマンドでバックグラウンド実行に切り替えます。逆にバックグラウンド実行しているプログラムをフォアグラウンド実行に切り替えたい場合はfgコマンドで切り替えます。

emacsを終了させるには、emacsのウインドウを閉じるか、もしくはターミナルエミュレータ上から「kill」コマンドで強制終了させます。killコマンドでは終了するプロセスIDを指定します。

[user@localhost ~]$ kill 5236
bg
処理をバックグラウンド処理に切り替える。
fg
処理をフォアグラウンド処理に切り替える。
ps
プロセスIDの一覧を表示する。ps auxで全プロセスのさらに細かい情報が見られる。
kill プロセスID
プロセスを終了させる(プログラムを終了させる)

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